不動産購入
マンションや家、土地などの不動産を購入するときにかかる税金があります。
どのような税金を払う必要があるのかを考え、
購入資金にも組み入れておきましょう
誰もがよく知る税金と言えば、消費税です。日本国内で企業や店舗など消費税課税事業者から物品やサービスを購入する際には消費税がかかります。不動産会社は消費税課税事業者なので、仲介を依頼して購入する建物(住宅など)、あるいは住宅などの建築請負工事代金には消費税が必要です。また、仲介する不動産会社に支払う仲介手数料にも消費税がかかります。ただ、土地には消費税がかかりません。個人間で住宅を売買する場合も、消費税は非課税となります。
現在、税率が8%(消費税6.3%+地方消費税1.7%)の消費税ですが、2017年(平成29年)4月1日より10%(消費税7.8%+地方消費税2.2%)に引き上げられる予定になっています。
不動産の売買契約に関する消費税の課税タイミングは、引き渡し時点です。建物にかかる消費税の税率は、変更時点で引き渡しが完了しているかどうかで変わります。ただ、消費税が変更となるときは経過措置が設けられています。売買契約の後、引き渡しが2017年3月31日以前に完了すれば経過措置が適用され、税率は現行の8%のままとなります。ただし、契約の締結が3月31日以前であっても、引き渡しが4月1日を過ぎる場合の税率は10%になるので注意が必要です。
請負工事契約に関する消費税の課税タイミングは、経過措置指定日により変わってきます。2016年(平成28年)10月1日が経過措置指定日として設定されますが、それ以前(2016年9月30日以前)に住宅の建築やリフォームの請負工事契約が締結されていれば、引き渡しが2017年4月1日を過ぎても、旧税率8%が適用となります。しかし、2016年10月1日以降に契約締結となり2017年4月1日以降に引き渡しとなる場合は、新税率の10%が適用されます。ただし、4月1日までに引き渡しが完了すれば、税率は8%となります。
これは、売買契約書や建築などの請負工事に関する契約書、住宅ローンを設定する際の金銭消費貸借契約書などを交わすとき、あるいは領収書を発行するときにかかる税金です。契約書などに記載されている金額によって税額が決まります。また、これは文書を作成した人に課税されるものです。契約書や領収書に課税される金額の印紙を貼り、押印します。
2014年(平成26年)4月1日から2018年(平成30年)3月31日までに発行される住宅を購入する際の不動産売買契約書、建築工事請負契約書で、記載金額が10万円を超える場合の印紙税には軽減措置が設けられています。
主な軽減措置後の印紙税は以下の通りです。
契約金額 | 通常の税率 | 軽減後の税率 |
---|---|---|
10万円超~50万円以下 | 400円 | 200円 |
50万円超~100万円以下 | 1,000円 | 500円 |
100万円超~ 500万円以下 | 2,000円 | 1,000円 |
500万円超~1千万円以下 | 10,000円 | 5,000円 |
1千万円超~5千万円以下 | 20,000円 | 10,000円 |
5千万円超~1億円以下 | 60,000円 | 30,000円 |
1億円超~5億円以下 | 100,000円 | 60,000円 |
不動産を購入したり、住宅を建築したりする際には登記を行いますが、土地や建物を登記する際にかかる税金が登録免許税です。
所有権に関する登記の場合 | 固定資産税評価額×所定の税率 |
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抵当権設定に関する登記の場合 | 債権額(住宅ローンの借入額)×所定の税率 |
不動産登記は、以下の4種類となります。
表題登記 | 新築した建物が完成した後、建物の所在地番、構造、床面積などを特定するために所有者が申請する登記。 |
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所有権保存登記 | 建物を新築した際、はじめて行う所有権の登記のことで、建物表題登記を行った後に行います。登記簿の甲区に所有者の住所・氏名の他、新築の日付などが記載されますが、所有権保存登記を行った後は、所有権を第三者に対抗できるようになります。 |
所有権移転登記 | 不動産を売買する際、所有権を売主から買主へ移転するときに行う登記のこと。これにより、買主は第三者に所有権を主張できる要件を備えることができます。 |
抵当権設定登記 | 住宅ローンを利用する場合、購入する不動産は担保となり抵当権が設定されます。その際に登記されるものです。金融機関は抵当権者、住宅ローンの借入者は抵当権設定者となります。 |
登録免許税には次のような軽減措置があります。
上記3点の要件を満たす場合は、所有権保存登記の登録免許税に軽減税率が適用されます。
通常の税率 | 0.4% |
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軽減税率 | 0.15%(※2017年3月31日まで) |
※認定長期優良住宅・認定低炭素住宅の場合は、0.1%(※2016年3月31日まで)
上記4点の要件を満たす場合は、所有権移転登記の登録免許税に軽減税率が適用されます。
通常の税率 | 2.0% |
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軽減税率 | 0.3%(※2017年3月31日まで) |
※認定長期優良住宅の場合、集合住宅は0.1%、一戸建て住宅は0.2%
※認定低炭素住宅の場合は、0.1%
(※いずれも2016年3月31日まで)
中住宅の所有権移転登記の軽減措置に設定された適用要件を満たす住宅の抵当権を設定する場合は、軽減税率が適用されます。
通常の税率 | 0.4% |
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軽減税率 | 0.1%(※2017年3月31日まで) |
土地を売買した場合の所有権移転登記の税率が軽減されます。
通常の税率 | 2.0% |
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軽減税率 | 1.5%(※2017年3月31日まで) |
家を新築・増築・改築した場合、あるいは、土地や家屋を購入・交換・贈与で取得した場合にかかる税金が不動産取得税です。これは無償で取得した場合でも課税されます。ただし、相続で土地や家屋を取得した場合は非課税となります。
基本的な税額の計算方法は
不動産取得税には次のような軽減措置があります。
2018年3月31日までは、不動産取得税を計算する際の課税標準(固定資産税評価額)が2分の1になります。
新築住宅とその土地が一定要件を満たす場合は、不動産取得税が軽減されます。
建物の税額の計算方法
不動産取得税=(固定資産税評価額-1,200万円)× 3%
※認定長期優良住宅の場合は控除額が1,300万円となります。(2016年3月31日まで)
土地の税額の計算方法
不動産取得税=(固定資産税評価額×1/2×3%)- 控除額(下記AかBの多い金額)×(課税床面積×2 [200平方メートルが限度])×3%
A = 45,000円
B =(土地1平方メートル当たりの固定資産税評価額×1/2)
中古住宅の場合も新築住宅と同様に不動産取得税の軽減措置があります。
1954年(昭和29年)7月1日から 1963年(昭和38年)12月31日までのもの |
100万円 |
1964年(昭和39年)1月1日から 1972年(昭和47年)12月31日までのもの |
150万円 |
1973年(昭和48年)1月1日から 1975年(昭和50年)12月31日までのもの |
230万円 |
1976年(昭和51年)1月1日から 1981年(昭和56年)6月30日までのもの |
350万円 |
1981年(昭和56年)7月1日から 1985年(昭和60年)6月30日までのもの |
420万円 |
1985年(昭和60年)7月1日から 1989年(平成元年)3月31日までのもの |
450万円 |
1989年(平成元年)4月1日から 1997年(平成9年)3月31日までのもの |
1,000万円 |
1997年(平成9年)4月1日以後のもの | 1,200万円 |
※控除額は自治体により金額が異なります。該当する建物のある自治体のホームページにてご確認ください。
建物の税額の計算方法
不動産取得税=(固定資産税評価額-控除額)× 3%
税額の計算方法
不動産取得税=(固定資産税評価額×1/2×3%)- 控除額(下記AかBの多い金額)×
(課税床面積×2 [200平方メートルが限度])×3%
A = 45,000円
B =(土地1平方メートル当たりの固定資産税評価額×1/2)
このように、不動産を購入するとさまざまな税金がかかります。また、税金によっては税率や税額が軽減される制度もあります。税金が軽減される制度を利用する場合は確定申告が必要です。ちなみに、確定申告は毎年2月16日から3月15日までとなっています(土日が入ると日程が前後します)ので、該当する場合は忘れずに確定申告をしましょう。