土地
相続などで土地を売却する方が増えています。ただ、ほとんどの方は不動産のプロではないので、「どうやって売るのがベストなのかよくわからない」と思っているのではないでしょうか?
また、最近では古くなった実家や誰も住んでないボロボロの空き家の建っている土地を相続し、「中古一戸建てとして売れないような建物が建っている土地はどうしたものか…」「ボロ家を解体するまでは売れないんじゃないか…」と悩んでいる方も散見されます。
まずは土地の相場を調査
土地売却は、自分が売主となって所有している土地を商品として市場に出すということ。
当然、売出価格は売主自身が自由に決めることができますが、実際にその金額で売却できるとは限りません。買ったときの金額や、残っているローン、住み替えの資金など個人的に売りたい金額はあると思いますが、少しでも早く、高く売るためには、まず実際の市場の状況を客観的に把握して売れる金額を知っておくことがとても大切です。
1・売りに出されている土地の価格を調べる
土地の購入サイトで、自分の土地のあるエリアがどのくらいの坪単価で売られているのか、見てみましょう。
この段階では、もしお持ちの土地に建物があったとしても、「土地そのものがいくらくらいか」の見当がつけられればOKです。
2・過去数年の成約価格や取引状況を調べる
国土交通省 土地総合システムで過去の成約価格や取引状況を調べられます。そのエリアの数年分の平均単価をグラフで見られるので、変動状況も知ることができます。売りたい土地がすでに建物がなく更地になっている場合には、より具体的な金額がわかるでしょう。
土地の相場のイメージがつかめたら、次は実際に売却をお願いする不動産会社を探します。スムーズに売却を行うためにココが一番大切なポイントなので、これからお伝えすることを必ず実行してください。なぜなら、買い手が早く見つかる可能性がぐんと高まるからです。
複数の不動産会社の中には、あなたのエリアで土地を探している見込み客をすでに抱えている会社があるかもしれないからです。
また、見込み客がいなかったとしても、複数の会社から査定額を提示されたり、営業担当者と接することで、「相場感とかけ離れすぎず、現実的な範囲の中で最も高く売ってくれそうか」や「どこの会社が豊富な売却実績を持っているか」など、様々な視点で比較することができます。
もし建物のある土地を売る場合には、状況を詳しく説明し、より具体的で現実的な提案をしてくれるような不動産会社を選びましょう。
不動産会社が選べたら、
正式にその会社に売却活動を依頼するため、
「媒介契約」を結びます。
媒介契約は一種類だけでなく、「専属専任媒介」「専任媒介」「一般媒介」の3つがあります。 それぞれの違いは以下の表のとおりですが、もっともおススメなのは「専任媒介」です。
メリットは主に次の2点です。
専属専任媒介と違い、自分でも買主を見つけてくることができる。
突然、知人のつてなどで買主が現れるようなケースもあるので、この選択肢を残す方が賢明です。
一般媒介と違い、売却活動の報告を必ず受けることができる。
報告の義務がある分、不動産会社も熱心に売却活動を行ってくれます。
つまり、「専任媒介」は他の2つの媒介契約の良いところを兼ね備えています。
専属専任媒介 | 専任媒介 | 一般媒介 | |
---|---|---|---|
2社以上の不動産会社と契約できるか | × できない |
× できない |
◯ できる |
自分で買主を探して直接取引できるか | × できない |
◯ できる |
◯ できる |
不動産会社から受ける活動報告の頻度 | 1週間に1回以上 | 2週間に1回以上 | 法令上の定めなし |
不動産会社のレインズ※への登録義務 | 媒介契約から5日以内 | 媒介契約から7日以内 | 法令上の定めなし |
契約期間 | 3ヶ月以内 | 3ヶ月以内 | 法令上の定めはないが、行政指導では3ヶ月以内 |
また、媒介契約に基づいて不動産会社が行う主な業務は以下の通りです。
土地の売却では測量、また古家が建っている場合には解体の必要が出てくる場合もあります。
そのようなときにも不動産会社はアドバイスや、専門家、業者の紹介をしてくれます。
媒介契約を結んだら、売却活動が始まります。いくらで市場に出すか、不動産会社と相談し、売出価格を決めましょう。売出価格を決めるにあたり、不動産会社は売却する土地の現地査定を行い、周辺の状況、日当たり、法令上の制限などを加味したより精度の高い価格を算定します。あなたの要望や事情をしっかり伝えて、納得のいく価格を設定して売り出しましょう。
建物が建っている土地は、「土地(現況 古家あり)」として購入者を募集します。中古一戸建てとして重ねて広告することはできません。
もし、「より早く売りたい」という場合には、あなたの希望売出価格よりも、不動産会社の算定した査定価格に近い金額に設定して売り出すのがよいでしょう。
査定価格は、市況や現地調査などからおおよそ3か月を目処に売却できる可能性の高い金額として不動産会社が根拠を持って提案している金額だからです。
土地を売り出したら「早く売れてほしい」と誰もが思います。
速やかに買い手を見つけて売買契約を取り付けるためにも、もし隣地との境界がはっきりしていない場合は、不動産会社に相談し確定測量を行って「境界確定図」を取得しておきましょう。
なぜなら、土地の購入を検討している人は、「その土地に自分の希望する家(建物)が建てられるかどうか」ということを重視しているため、土地の正確な情報を求めています。測量には費用がかかりますが、土地の状態を明確にすることで売れやすくなる可能性が高まります。
買い手が見つかったら、「買付証明書(購入申込書)」という書類によって、買い手側から「希望購入価格」「支払い条件」「引き渡し希望日」などが提示され、不動産会社を交えて契約条件の調整が行われます。
売り手と買い手の双方が合意に達すれば、いよいよ売買契約です。
金額や引き渡し日などの契約条件がすべて決まったら、不動産会社が契約書や重要事項説明書等の必要な書面を作ってくれます。重要事項説明書には土地の情報が細かく記載されますので、不動産会社から書類の提出や情報の提供を求められることがあります。不動産会社からの案内に沿って進めて行ってください。
契約の際には契約書に貼る印紙代がかかりますが、印紙代は売買価格によって異なります。事前に不動産会社から連絡がありますので、必要な書類とあわせて契約までに準備しておきましょう。
当日は、買主に対し宅地建物取引士(不動産会社)が重要事項説明書を読み上げて説明を行った後、お互いに売買契約書の内容を確認し調印します。 同時に買主から手付金を受け取ります。
契約書には契約の解除について、売買代金支払い、瑕疵担保責任の期間などの細かい取り決めが記されていますのでよく確認し、不明な点があれば不動産会社に訊ねるようにしてください。
いよいよ土地を引き渡す日がやってきました。契約書の定め通り売買代金(手付金以外の残りの金額)を受け取り、必要な書類などを買主に渡します。ローンが残っている場合には抵当権の抹消を行い、所有権移転登記の手続きなどを行いますが、手続きは不動産会社が指南してくれるので、心配はいりません。
固定資産税の清算や登記費用の支払いなどすべての手続きが完了したら、売買完了確認書に署名捺印をして不動産会社へ仲介手数料を支払います。契約書通りに引き渡しができない場合、債務不履行として違約金を支払うことになりますので、十分注意して余裕を持って準備をすすめましょう。
メリット
築年数が古い一戸建てはそのまま売却してしまうと、雨漏りやシロアリの被害など住んでいる間には知らなかった瑕疵(欠陥や不具合)があった場合、瑕疵担保責任を負わなければなりません。
土地(現況古家あり)として売却する場合は、あくまで売買の対象は土地です。建っている家の瑕疵担保責任を負わないという特約が有効になりますので、売買契約の条件としたい意向を事前に不動産会社に伝えましょう。
住宅ローンは住宅を購入する場合にしか適用されないので、土地だけを購入する場合は、融資を受けるのにさまざまな制限がつき、手続きが煩雑になります。
しかし、建物が建っている土地については住宅とみなされるため、買主は住宅ローンを受けることができます。
また、建物が建っていることで、二階からの眺望や日当たり具合など、更地の場合より暮らしがイメージしやすいというメリットがあります。
土地の固定資産税の評価額は一般的に建物が建っている場合、更地の場合の6分の1になります。(面積によって特例あり)
万が一、売却期間が長引いてしまったときでも、固定資産税が安く済むというメリットがあります。
建物の取り壊しは買主の負担となりますが、申し込みの段階で、建物の取り壊し後の引き渡しや解体費用の相当額の値引きを交渉されることが多く、売主がそれに応じる形で成約するケースが多いようです。
解体にどのくらい費用がかかるかを事前に調べて、ある程度の値引きを想定しておく必要があります。
土地売却でしばしば瑕疵担保責任が問われるのが、地中に埋設物があった場合です。建物が建っている場合は建物の下に何が埋まっているのか事前に確認できません。
買主が購入後、建築工事を始めたときに大きな石や廃材などが発見されることがあります。これは隠れた瑕疵です。もし、埋設物が見つかった場合は除去や処分等にかかる費用を売主が負担することになります。
メリットもあればデメリットもありますが、きちんと踏まえたうえであれば、土地の売却活動をするのに躊躇することはありません。心配事、悩み事があれば、不動産会社に率直に相談してみましょう。不動産のプロが、あなたの力になってくれるはずです。