サブリース
所有する賃貸マンション・アパートから安定的に収入を得たい方にとってサブリース契約は魅力的です。しかし、実は家賃保証契約があっても賃料を減額されてしまうリスクがあるということは意外と知られていません。ここではサブリース契約における賃料減額リスクを中心に説明していきましょう。
最初に、一般的なサブリースの仕組みを説明しましょう。サブリース契約では、不動産会社などのサブリース会社がマンション・アパートの所有者からすべての部屋を一括して借り上げて第三者に又貸しをする一方、契約で定めた期間中一定額の家賃をオーナーに支払い続けることを約束します。これによって、サブリース会社は又貸しで入居させて賃借人たちから得る家賃収入と、オーナーに支払う家賃との差額から利益を得るという仕組みです。
オーナーの受け取る家賃収入は、実際の入居者が支払っている家賃額よりは少なくなりますが、万一空き室が出た場合でもサブリース会社から賃料減額なく安定した家賃を得ることができる点がオーナーのメリットです。
サブリース会社にとっても、自ら賃貸マンション・アパートを保有することなく収入を継続して得ることができるサブリース契約ですが、デメリットもあります。それは、又貸しによって得られる賃料が減少してしまうリスクです。例えば、近隣から大学や工場など賃貸需要のある施設が他地域に移転してしまったら、賃貸市場環境は悪化して今までの賃料では入居者が入らなくなるかも知れません。また、近隣に競合する新築物件が建築されると、空き室が増えたり賃料を安くする必要が生じたりすることになります。この場合、又貸しによる家賃収入は減少するので、オーナーに支払う家賃の賃料減額をしない限り、サブリース会社の収益は悪化してしまうのです。
この点、サブリース契約書には一定期間家賃の減額はしない、という家賃保証特約がついていることも多いため、賃料減額は心配ないと思う方もおられるでしょう。しかし、残念ながらこの特約は無効とされる可能性があるのです。なぜなら、これらのサブリース契約はサブリース会社を借主とする通常の賃貸借契約として扱われ、借地借家法が適用されるからです。そして、借地借家法においては、家賃保証特約は借主に不利な特約として無効と扱われる可能性があります。もし訴訟などでこの特約が無効とされれば、約束されたはずの家賃収入は減額されてしまうことになってしまいます。
このように、家賃保証特約のあるサブリース契約であっても、将来賃料減額されてしまう可能性は否定できません。だとすれば、最も大切なことはサブリース契約を結ぶ相手を慎重に選ぶことです。例えば、経営が不安定な不動産会社が相手であれば、経営悪化を理由に賃料減額をしてくる可能性もあります。安定した収入を得るには、これまでの家賃保証に関する実績や、会社の経営状態などもしっかり調査した上で契約することが大切です。
サブリースは、オーナーが煩わしい管理に追われることなく、一定の家賃収入を安定して得られる便利なシステムです。ただ、家賃保証の特約が無効とされて賃料減額されてしまうリスクもあることを理解した上で、契約相手をしっかり選定して利用するようにしましょう。