サブリース
賃貸経営には、幾つかの手法がありますが、最近では経営を含めて外部委託するオーナーも増えています。この手法はサブリースと呼ばれており、不動産運用初心者にとって参入しやすいものとなっています。それでも、参入に際しては、サブリースのメリットやデメリットをしっかり把握しておくことが重要です。
一般的に、新築物件のサブリースでは、最高で30年間保証といった、長期間の家賃保証を売り文句にしています。中古物件であれば、建物の耐用年数に応じて契約期間が設定されますが、何れにしても物件オーナーにとっては魅力的に映ります。実際には、2〜5年くらいで契約更新となることが多く、最初の家賃が何十年も保証されることは殆どありません。サブリース契約期間中に、物件を売約するなど、オーナーチェンジする場合は、契約内容の条項に従います。但し、特に契約に記載が無い場合は、現オーナーとサブリース会社、そして新オーナーの三者協議によって決めることになります。
サブリースは、賃貸物件オーナーにとって安定収入が得られるメリットがありますが、一方、契約期間満了時のトラブルが発生しやすくなっています。その主なものは、サブリース会社が契約終了に応じないことです。結論から言えば、サブリース契約は借地借家法の適用を受けるので、正当事由がない限り更新拒絶は認められません。それ故、オーナーチェンジしても、新オーナーは賃貸借契約を終了することはできないわけです。また、正当事由に関しても、当事者双方の使用の必要性が優先されるので、単に「契約相手が信用できない」等の個人的事情は認められません。
通常、サブリース契約には満了期間と解約事由が定められています。そして、サブリース会社主導の契約では、サブリース会社側に中途解約権が設けられることが多くなっています。この中途解約権とは、一定の予告期間を置けばいつでも契約を解除できるもので、サブリース契約を30年結んだとしてもオーナー側に意味が無くなる恐れがあります。サブリース会社としては、採算が合わなくなれば当然撤退することになり、中途解約条項は必ず盛り込まれるわけです。但し、解約予告期間を長くすることは可能なので、オーナーチェンジした最初の契約で明記する必要があります。
サブリース契約で肝心なのが、賃料額の取決めですが、サブリース会社の取り分だけを比較してオーナーチェンジすることはリスクが高いと言えます。実際の契約となると、サブリース会社の取り分以外にも、オーナーが負担すべき費用が発生してくるからです。公租公課をはじめ、修繕費や管理費、そして火災保険料など様々な名目で負担金が発生することがあります。特に、新規入居者からの礼金に関しては、サブリース会社によって扱いが分かれるので、契約書の内容を充分確認する必要があります。
マンションを1棟丸ごとオーナーチェンジする場合は、新築時から10〜15年経つと改修の必要性が出てきます。通常は、管理費に修繕費が含まれますが、サブリース会社によっては、修繕費の積立がなされていないケースもあります。それ故、オーナーチェンジをする前には、将来の改修に関しての取り決めを確認することが重要です。