相続について
実家相続のトラブルを回避するには、日頃からコミュニケーションをとっておくことが重要です。兄弟が複数名いる場合は、家長となる人物が中心となって、親が所有している家の相続プランを立てて、兄弟達に早めに伝えなければなりません。連絡が遅くなってしまうと、両親の老後に関わっていない兄弟の間で不平・不満が膨らみ、トラブルが起きる可能性大です。実家の後継ぎが決まっていない場合でも、兄弟個々が平等に財産を分け合いたいという姿勢を持って話し合いを重ねる中で、相続をスムーズに進められます。遺産を相続したくないと宣言していたとしても、話し合いの場には顔を出すべきです。
実家の相続権を保持したいと考える場合には、自宅の敷地を複数の相続人で分け合う現物分割が適しています。但し、自宅敷地が広くないケースでは、不公平感が生じやすいので要注意です。その他、共同で自宅を取得する遺産分割方法があります。因みに、相続人のいずれかが自宅に居住していれば、遠方から帰省して家をメンテナンスする手間を省けます。また、兄弟皆が協力し、家族の大切な思い出が詰まっている実家の存続を目指せます。
実家を兄弟で共同所有することは、公平を期する相続方法と思われがちですが、売却の必要性が高まった時には意見調整が難航しやすいです。そもそも自宅を平等に分け合うことは非常に困難です。自宅を売却して代金を分配する遺産分割方法・換価分割を利用すれば、将来的に問題が起きる心配はありません。但し、売却のスケジュールや得られた金額を公表して個々が受け取る金額を決定する話し合いがなければ、人間関係に亀裂が入る可能性が高いです。
いざ実家を相続する事態が訪れた時、遺言状があれば文言に従って家の取り扱い方法をスムーズに決定できます。遺言状がなく後継ぎが定まっていない場合には、家の存亡について誰が主導権を握るのかという言い争いが起きる可能性を否めません。さらに、幼少の子どもを残して両親や祖父母が早期に他界した際にも、実家の相続権を誰が取得するかでトラブルが生じやすいです。また、血縁関係のない人物が相続権を主張して大問題に発展した事例もあります。相続の折には想定外の出来事が付き物と考え、状況に応じた対処法を検討する必要があります。
実家を相続したくないという強い意志を持っていたとしても、一度起きてしまった相続のトラブルからは逃れることは難しいです。相続の相談や話し合いには真摯に対応する必要があります。面倒くさいと思って適当に対応していると、言い争いに巻き込まれてしまうので要注意です。