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23日、国土交通省から2021年1月1日時点の公示地価が発表されました。
住宅地や商業地などを合わせた全用途の全国平均が前年より0・5%下がりました。下落に転じたのは6年ぶりのことです。
前年は1・4%の上昇でしたが、新型コロナウイルスの感染拡大による訪日客の激減や外出自粛の影響で、都市部を中心に大きく下落しました。
用途別にみてみると、商業地が前年の3・1%上昇から0・8%下落となり、7年ぶりに下落。
住宅地も0・8%上昇から0・4%下落と、5年ぶりの下落となりました。
とくに落ち込みが目立つのは、ホテルや飲食店が集まる都市部の商業地。
前年までは、外国人観光客の増加や大規模な金融緩和による投資資金の流入で、都市部ではホテルや商業施設などの開発需要が高まっていました。
ところが、コロナで状況は一変。訪日客の激減と外出自粛でホテルは不振に陥り、都心の繁華街では、時短営業を余儀なくされた飲食店の撤退が相次ぎ、地価が下がっています。
このため、地方より東京、大阪、名古屋の3大都市圏の落ち込みが大きく、全用途で0・7%下落となりました。
商業地に限ると、前年の5・4%の上昇から1・3%下落に急落。最も下落幅が大きかった大阪は前年の6・9%上昇から1・8%下落となり、東京も5・2%上昇から1・0%下落、名古屋も4・1%上昇から1・7%下落へと、大幅に落ち込んでいます。
地方圏も大都市圏ほどではないとはいえ、全用途で0・3%下落と4年ぶりの下落となりました。
再開発などで高い上昇率を維持してきた札幌、仙台、広島、福岡の地方主要4市も平均2・9%上昇と、前年の7・4%上昇より上昇幅は縮小しました。
1月1日までの半年の地価の変化をみると、商業地は横ばいで、住宅地は0・2%の上昇と、下げ止まりの兆しもうかがえます。
ただし、1月には2度目の緊急事態宣言が出されており、コロナの影響がさらに長期化すれば、下落傾向が長引く可能性もあります。
一方、コロナ後のテレワークの拡大で、首都圏からの移住需要が高まり、一部の地方では地価の上昇が見られた地域もありました。