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5月20日、国土交通省は入居者が死亡したいわゆる「事故物件」について国土交通省は20日、入居者の死亡事故・事件などが起こった住宅、いわゆる「事故物件」について、告知義務が発生する事項についてのガイドライン案を発表しました。
事件性の高い殺人や自殺、火災などによる死亡は3年間の告知義務が発生する一方、病死や老衰などは、告知義務が発生しないとしました。
これまで「事故物件」に関する告知義務を規定し明記したものがなく、不動産会社ごとの判断に任せていました。
ガイドライン策定の目的は告知が必要か不要かに関して一定の規定を設けることで、これまであった事業者ごとの対応の差をなくすことです。
ガイドライン案では、入居者の心理的瑕疵(かし)の大きさを基に告知の規定を定めています。
事件性が高い殺人や自殺、火災による死亡は入居者の心理的瑕疵が大きいと判断し、事件発生後3年間は入居希望者に対し告知する義務を設けました。
また、孤独死により遺体の発見が遅れ、遺体から腐敗臭やウジ虫が発生し特殊清掃が行われた場合も同じ扱いとなります。
孤独死でも、死亡時から日数がたたずに発見された場合は自然死の扱いとなり、告知義務は発生しません。腐敗は季節によって進行度に差が出るため、告知義務発生の目安となるような発見までの日数などは設けていません。
病死や老衰、転倒による事故死や食べ物がのどに詰まった場合の窒息死は事件性が低く、「自然死に近い」と判断したため告知義務が発生しません。
物件内で事件が発生したものの、運ばれた先の病院で死亡した場合に関しては、今回はガイドラインに明記せず、今後の検討課題としました。
売買契約については賃貸物件とは告知の範囲に違いがあります。
対象となる不動産において、過去に他殺、自死、事故死が発生している場合には、これを認識している宅地建物取引業者が媒介を行う際には、買主に対してこれを告げなくてはなりません。
また、人が死亡し、長期間にわたって人知れず放置されたこと等に伴い、室内外に臭気・害虫等が発生した旨について、調査を通じて判明した範囲で、買主に対してこれを告げるものとします。
ガイドラインに関するパブリックコメントの公募は6月18日までに既におわっていて、夏頃をめどに正式なガイドラインを発表します。
参照:「宅地建物取引業者による人の死に関する心理的瑕疵の取り扱いに関するガイドライン」(案)